五月雨は苫の雫に袖濡れて
あなしほどけの浪のうきねや
- 歌の意味
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五月雨の頃は、舟の苫から垂れる雫に袖が濡れて、ああ、潮気にしっとりと湿る、波の上のつらい浮き寝であることよ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 187
詞書「旅泊五月雨といへる心をよめる」
「旅泊五月雨(船旅の泊まりの五月雨)」という題で詠んだ歌である。船旅の途中、五月雨の降る夜は、舟を覆う苫から垂れる雫に袖が濡れ、ああ、潮気にまで湿る、波の上のつらい浮き寝であることよ、と詠む。「うきね」に、水に浮かんで寝る「浮き寝」とつらい「憂き寝」とを掛け、船旅の侘しさを長雨の湿りとともに描いている。五月雨の一連はここで結ばれる。
作者の「源仲正」は兵庫頭源頼綱の子である。兵庫頭などを務め、源頼政の父にあたる。
初句「五月雨は」は、五月雨の頃は、と示す。本巻の第百八十三首、第百八十五首と同じ初句である。
二句「苫の雫に」の「苫」は、菅や茅を編んで舟や小屋を覆うものをいう。
三句「袖濡れて」は、雫に袖が濡れて、の意である。
四句「あなしほどけの」の「あな」は感動詞、「しほどけ」は潮気で湿ること、しっとりと濡れることをいう。
結句「浪のうきねや」の「うきね」は、水に浮かんで寝る「浮き寝」と、つらい「憂き寝」とを掛ける。「や」は詠嘆である。本巻の第百八十三首「須磨の浦人」が浦に住む人の濡れる袖を詠んだのに対し、本歌は旅人の舟の上の濡れる袖を詠む。
とま:菅や茅を編んで舟や小屋を覆うもの
しほどけ:潮気で湿ること、しっとりと濡れること
うきね:水に浮かんで寝る「浮き寝」と、つらい「憂き寝」を掛ける
- 作者
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源仲正
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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五月雨に室の八島を見わたせば 煙は浪の上よりぞ立つ
- 次の歌
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五月雨の雲の晴れ間に月冴えて 山時鳥空に鳴くなり