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照射する宮城が原の下露に
しのぶもぢずり乾く夜ぞなき

歌の意味
照射の狩りをする宮城野の原の、草葉の下に置く露のために、身を忍ばせて獲物を待つ狩人の信夫もじずりの衣は、乾く夜とてない。
鑑賞
巻第三 夏歌 194

詞書「同じ御時、百首歌奉りける時、照射の心をよみ侍りける」
 同じ堀河天皇の時代、堀河百首で「照射」を題として詠んだ歌である。照射とは、夏の夜、火串に松明を立てて鹿をおびき寄せ、射止める狩りである。宮城野の原で照射をする狩人は、草葉の下の露に濡れて、身をひそめて獲物を待つ間、信夫もじずりの衣が乾く夜とてない、と詠む。「しのぶ」に、身を「忍ぶ」意と陸奥の「信夫もぢずり」とを掛け、陸奥の歌枕を重ねて、夜露に濡れる狩人の姿を描いている。ここから照射を詠む歌が続く。
 作者の「前中納言匡房」は大江匡房である。大江成衡の子で、学者として後三条、白河、堀河の三代の天皇に仕え、権中納言に至った。博識で知られ、堀河百首の作者の一人である。
 「しのぶもぢずり」は、古今和歌集の河原左大臣源融の歌「陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに」で知られる、陸奥国信夫郡産の乱れ模様の摺り衣である。
 本歌から第二百首までの七首は、照射を詠む一連である。

 初句「照射する」は、照射の狩りをする、の意である。本巻の第百九十七首、第百九十八首、第二百首も同じ「照射する」を初句とする。
 二句「宮城が原の」の「宮城が原」は宮城野のことで、陸奥国の歌枕である。本巻の第二百十八首も宮城野を詠む。
 三句「下露に」は、草葉の下に置く露に、の意である。
 四句「しのぶもぢずり」は、身を「忍ぶ」意と、陸奥国信夫郡産の摺り衣「信夫もぢずり」とを掛ける。獲物を待って身をひそめる狩人の衣をいう。
 結句「乾く夜ぞなき」の「ぞ」は係助詞で、「なき」と連体形で結ぶ。夜ごとの狩りで衣が乾く間もないことを示す。

ともし:夏の夜、火串に松明を立てて鹿をおびき寄せ、射止める狩り
しのぶもぢずり:身を「忍ぶ」意と、陸奥国信夫郡産の乱れ模様の摺り衣「信夫もぢずり」を掛ける
みやぎがはら:宮城野のことで、陸奥国の歌枕
したつゆ:草葉の下に置く露
作者
大江匡房
出典
千載和歌集
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五月闇二村山の時鳥 峰続き鳴く声を聞くかな
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五月闇さ山の峰にともす火は 雲の絶え間の星かとぞ見る