あさりせし水のみさびに閉ぢられて
菱の浮葉にかはづ鳴くなり
- 歌の意味
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鳥が餌をあさっていた水も、水錆に閉ざされてしまい、今はそこに浮かぶ菱の葉の上で、かはづが鳴いているようだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 203
詞書「題しらず」
水鳥が餌をあさっていた池の水も、夏が深まって水面一面に水錆が張り、閉ざされてしまった、今はその水面に浮かぶ菱の葉の上で、かはづが鳴いている、と詠む。水錆に覆われ菱の葉が浮かぶ夏の池の、よどんだ静けさを、かはづの声によってとらえている。
作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「あさりせし」の「あさり」は鳥などが餌を探し求めること、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「水のみさびに」の「みさび」は、水面に浮かぶ水垢、水錆をいう。
三句「閉ぢられて」の「られ」は受身の助動詞で、閉ざされて、の意である。
四句「菱の浮葉に」は、水面に浮かぶ菱の葉の上に、の意である。次歌の第二百四首も水草の茂る夏の水辺を詠む。
結句「かはづ鳴くなり」の「かはづ」はカジカガエル、「なり」は音や声をもとに判断する推定の助動詞である。巻第二の第百十七首「鳴くかはづかな」が山吹の散る晩春のかはづを詠んだのに対し、本歌は夏の池のかはづを詠む。
あさり:鳥などが餌を探し求めること
みさび:水面に浮かぶ水垢、水錆
ひし:池や沼に生え、葉を水面に浮かべる水草
かはづ:カジカガエル
- 作者
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源俊頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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あはれにも操に燃ゆる蛍かな 声立てつべきこの世と思ふに
- 次の歌
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夏深み玉江に茂る葦の葉の そよぐや船の通ふなるらん