夏深み玉江に茂る葦の葉の
そよぐや船の通ふなるらん
- 歌の意味
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夏が深まって玉江に丈高く茂った葦の葉がそよいでいるのは、葦の向こうを船が通っているからなのだろう。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 204
詞書「水草隔船といへる心をよみ侍りける」
「水草隔船(水草が船を隔てる)」という題で詠んだ歌である。夏が深まり、玉江の葦が丈高く茂って船の姿を隠してしまったが、葦の葉がそよいで音を立てるのは、その向こうを船が通っているからなのだろう、と詠む。見えない船を葦のそよぎによって推し量る趣向で、題の意をよく生かしている。
作者の「法性寺入道前太政大臣」は藤原忠通である。関白藤原忠実の子で、摂政、関白、太政大臣を歴任し、出家して法性寺殿と呼ばれた。歌壇の庇護者としても重きをなし、小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「夏深み」の「み」は原因を表す接尾語で、夏が深まったので、の意である。
二句「玉江に茂る」の「玉江」は摂津国または越前国の歌枕で、葦の名所である。
三句「葦の葉の」は、四句の「そよぐ」の主語を示す。前歌の第二百三首の菱の浮葉に続き、水辺の草を詠む。
四句「そよぐや船の」の「そよぐ」は葉が風や物に触れてさやさやと音を立てる意、「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。
結句「通ふなるらん」の「なる」は断定の助動詞「なり」の連体形、「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、「や」の結びとなる。葦に隠れた船を、そよぎの音から推し量る。
たまえ:摂津国または越前国の歌枕で、葦の名所
そよぐ:葉がさやさやと音を立てて揺れる
- 作者
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藤原忠通
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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あさりせし水のみさびに閉ぢられて 菱の浮葉にかはづ鳴くなり
- 次の歌
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早瀬川澪さかのぼる鵜飼舟 まづこの世にもいかが苦しき