岩間もる清水を宿にせきとめて
ほかより夏を過ぐしつるかな
- 歌の意味
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岩の間から漏れ流れる清水を我が家に引いてせき止めたので、夏は我が家の外をよそごととして過ぎていったことだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 212
詞書「題しらず」
岩間から漏れ流れる清水を我が家の庭に引き入れてせき止めたので、その涼しさのおかげで、夏は我が家の外を通り過ぎ、自分は夏をよそごととして過ごすことができた、と詠む。清水の涼しさを、夏そのものを家から遠ざけるものとして誇張した納涼の歌である。
作者の「俊恵法師」は源俊頼の子で、東大寺の僧となった。京の白川の自坊を歌林苑と名づけて多くの歌人を集め、鴨長明の師としても知られる。小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「岩間もる」は、岩の間から漏れ流れる、の意である。本巻の第二百十首「岩もる清水」と同じ趣向である。
二句「清水を宿に」は、清水を我が家に、の意である。
三句「せきとめて」は、水の流れをせき止めて、の意である。本巻の第二百十四首も「せきとむる」と詠み起こす。
四句「ほかより夏を」の「ほか」はよそ、外の意で、夏を我が家の外に、の意である。本巻の第二百十首「夏のほかなる」と同じく、夏を外のものとする。
結句「過ぐしつるかな」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形、「かな」は詠嘆である。
せきとむ:流れをせき止める
ほか:よそ、外
- 作者
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俊恵
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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夕されば玉ゐる数も見えねども 関の小川の音ぞ涼しき
- 次の歌
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さらぬだに光涼しき夏の夜の 月を清水に宿してぞ見る