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七夕の天の河原の岩枕
交はしも果てず明けぬこの夜は

歌の意味
織女が天の河原で岩を枕に、牽牛と枕を交わしきらないうちに、この夜は明けてしまった。
鑑賞
巻第四 秋歌上 239

詞書「七夕の心をよめる」
 「七夕」の心を詠んだ歌である。織女と牽牛が天の河原で岩を枕として共寝をし、その枕を交わしきらないうちに、この一夜は明けてしまった、と詠む。一年に一度の逢瀬があまりにも短く終わる嘆きを、倒置の結句で強く表している。
 作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
 前歌の第二百三十八首が逢瀬の夜の枕を詠んだのを受け、本歌は「岩枕」を詠んで、その夜が明けてゆくさまを描く。七夕の一連は、ここで夜明けへと移る。

 初句「七夕の」は、織女の、の意である。
 二句「天の河原の」は、天の川の河原の、の意で、逢瀬の場を示す。本巻の第二百四十一首「天の川」、第二百八十八首「天の川瀬」も天の川を詠む。
 三句「岩枕」は、岩を枕とすることで、野宿の寝床をいう。前歌の第二百三十八首「枕に塵の」を受けて枕を詠む。
 四句「交はしも果てず」の「交はす」は枕を交わす、共寝をする意で、「果てず」は、しきらないうちに、の意である。
 結句「明けぬこの夜は」の「ぬ」は完了の助動詞で、明けてしまった、の意である。主語の「この夜は」を最後に置く倒置で、逢瀬の短さへの嘆きを強める。

いはまくら:岩を枕とすること、野宿の寝床
かはす:互いに交わす
作者
源俊頼
出典
千載和歌集
前の歌
恋ひ恋ひて今宵ばかりや七夕の 枕に塵の積もらざるらん
次の歌
七夕に花染め衣脱ぎかせば 暁露のかへすなりけり