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露しげきあしたの原の女郎花
一枝折らん袖は濡るとも

歌の意味
露がしとどに置いている朝の、あしたの原に咲く女郎花を一枝折ろう。たとえ袖が露に濡れても。
鑑賞
巻第四 秋歌上 251

詞書「堀河院御時、百首歌奉りける時、よみ侍りける」
 堀河百首で女郎花を詠んだ歌である。露のしげく置いた朝、あしたの原に咲く女郎花を、たとえ袖が露に濡れようとも、一枝折り取ろう、と詠む。地名の「あしたの原」に朝の意を重ね、朝露に濡れることもいとわず女郎花を求める心を、倒置の形で強く表している。
 作者の「大納言師順」は源師頼である。本文には「師順」とあるが、他の伝本では「大納言師頼」とあり、堀河百首の作者であることからも源師頼と解される。左大臣源俊房の子で、大納言に至った。
 本歌から第二百五十四首までは女郎花を詠む歌が続く。

 初句「露しげき」は、露がたくさん置いている、の意である。
 二句「あしたの原の」の「あした」は、大和国の歌枕の「朝の原」と、朝の意の「あした」とを掛ける。露の多い朝の、あしたの原の、の意となる。
 三句「女郎花」は秋の七草の一つで、女性になぞらえて詠まれることが多い。本巻の第二百五十二首、第二百五十三首、第二百五十四首も女郎花を詠む。
 四句「一枝折らん」の「ん」は意志の助動詞「む」で、一枝折ろう、の意である。ここで句切れとなり、結句と倒置の関係にある。
 結句「袖は濡るとも」の「とも」は逆接仮定の接続助詞で、袖が濡れようとも、の意である。本巻の第二百五十三首「袖のしをるる」も、女郎花を手折って袖が濡れるさまを詠む。

あした:大和国の歌枕「朝の原」の「あした」と、朝の意の「あした」を掛ける
をみなへし:秋の七草の一つで、黄色の小花を咲かせる
作者
源師頼
出典
千載和歌集
前の歌
心をば千草の色に染むれども 袖に移るは萩が花摺り
次の歌
女郎花なびくを見れば秋風の 吹き来る末もなつかしきかな