竜田姫かざしの玉の緒を弱み
乱れにけりと見ゆる白露
- 歌の意味
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竜田姫の髪飾りの玉を貫いた緒が弱いので、ばらばらに乱れ散ってしまったと見える白露であることよ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 265
詞書は前の歌に続き「崇徳院に百首歌奉りける時、よめる」
前歌と同じく崇徳院に奉った百首歌で詠んだ歌である。草葉に散らばる白露を、秋の女神竜田姫の髪飾りの玉を貫いていた緒が弱くなって切れ、玉がばらばらに乱れ散ったものと見る、と詠む。露を玉に見立てる伝統的な表現を、秋の女神の装いと結びつけ、華やかで幻想的な景に仕立てている。
作者の「藤原清輔朝臣」は左京大夫藤原顕輔の子である。六条藤家の歌学を受け継いだ当代屈指の歌学者で、「袋草紙」などの歌学書を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
前歌の第二百六十四首が露をわが身のはかなさに重ねたのに対し、本歌は露を女神の玉に見立て、同じ露を異なる趣で詠み分けている。
初句「竜田姫」は、秋をつかさどる女神で、竜田山を神格化したものとされる。
二句「かざしの玉の」の「かざし」は髪や冠に挿す飾りで、「玉」は露の見立てとなる。
三句「緒を弱み」の「緒」は玉を貫き通す紐、「を〜み」は原因を表し、緒が弱いので、の意となる。
四句「乱れにけりと」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けり」は詠嘆である。玉がばらばらに乱れ散ってしまったと、の意である。
結句「見ゆる白露」は体言止めで、見立ての対象である白露を最後に示す。本巻の第二百七十二首「玉散りて」も露を散る玉に見立てる。
たつたひめ:秋をつかさどる女神
かざし:髪や冠に挿す飾り
を:玉を貫き通す紐
- 作者
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藤原清輔
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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はかなさを我が身の上によそふれば 袂にかかる秋の夕露
- 次の歌
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夕まぐれ荻吹く風の音聞けば 袂よりこそ露はこぼるれ