夕まぐれ荻吹く風の音聞けば
袂よりこそ露はこぼるれ
- 歌の意味
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夕暮れ時、荻を吹く風の音を聞くと、ほかならぬ私の袂から露がこぼれ落ちることだ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 266
詞書「題しらず」
夕暮れの薄暗い頃、荻の葉を吹く風の音を聞いていると、荻の葉よりもまず私の袂から露がこぼれ落ちる、と詠む。荻の葉ずれに誘われて流す涙を袂の露に見立て、秋の夕暮れの風の音がもたらす悲しみの深さを表している。
作者の「藤原季経朝臣」は左京大夫藤原顕輔の子である。藤原清輔、藤原重家の弟にあたる六条藤家の歌人で、のちに宮内卿に至った。
なお本文の結句は「露はこはるれ」とあり、読み仮名の行の「つゆはこほるれ」と一致しない。本文の「こはるれ」では意が通らないため、本文の誤写と見て、ここでは読み仮名の行に従い「こぼるれ」と解する。
初句「夕まぐれ」は、夕方の薄暗い頃、の意である。
二句「荻吹く風の」は、荻の葉を吹く風の、の意である。本巻の第二百三十首「荻吹く風の」と同じ句で、荻の風は本巻の巻頭の第二百二十六首以来たびたび詠まれる。
三句「音聞けば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、音を聞くと、の意である。
四句「袂よりこそ」の「より」は起点を表し、「こそ」は係助詞として結句の「こぼるれ」と係り結びをなす。荻の葉からではなく、袂からこそ、と強調する。本巻の第二百六十四首、第二百六十七首も袂の露を詠む。
結句「露はこぼるれ」は「こぼる」の已然形で、「こそ」の結びとなる。袂の露に涙を重ねる。本巻の第二百六十三首「露こぼるらん」と同じく露のこぼれるさまを詠む。
ゆふまぐれ:夕方の薄暗い頃
- 作者
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藤原季経
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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竜田姫かざしの玉の緒を弱み 乱れにけりと見ゆる白露
- 次の歌
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おほかたの露には何のなるならむ 袂に置くは涙なりけり