秋の夜の心を尽くすはじめとて
ほのかに見ゆる夕月夜かな
- 歌の意味
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秋の夜に心を尽くして物思いをする、その始まりとして、ほのかに見える夕月夜であることよ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 274
詞書「月の歌あまたよみ侍りける時、よみ侍りける」
月の歌を数多く詠んだ折に詠んだ歌である。これから秋の夜ごとに月を見て心を尽くして物思いをする、その始まりだというように、夕方の空にほのかに見える月であることよ、と詠む。満ちてゆく月とともに深まる秋の物思いを予感させる一首で、ここから月の歌が続く。
作者の「権大納言実家」は藤原実家である。右大臣藤原公能の子で、権大納言に至った。兄に左大臣藤原実定がいる。
古今和歌集のよみ人しらずの歌「木の間より漏りくる月の影見れば心づくしの秋は来にけり」を踏まえ、「心づくしの秋」の始まりを夕月夜に見ている。本歌から巻末の第三百一首までは月を詠む歌が続き、本歌はその冒頭に置かれている。
初句「秋の夜の」は、秋の夜の、の意である。
二句「心を尽くす」は、あれこれと物思いの限りを尽くす、の意で、古今和歌集の「心づくしの秋」を踏まえる。
三句「はじめとて」は、その始まりとして、の意である。月の歌の一連の始まりにふさわしい句である。
四句「ほのかに見ゆる」は、かすかに見える、の意で、まだ細い夕方の月の光をいう。
結句「夕月夜かな」の「夕月夜」は夕方に出ている月、またその月のある夜をいい、「かな」は詠嘆の終助詞である。
ゆふづくよ:夕方に出ている月、またその月のある夜
- 作者
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藤原実家
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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常磐なる青葉の山も秋来れば 色こそ変へね寂しかりけり
- 次の歌
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秋の月高嶺の雲のあなたにて 晴れゆく空の暮るる待ちけり