山の端にますみの鏡掛けたりと
見ゆるは月の出づるなりけり
- 歌の意味
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山の稜線に、よく澄んだ鏡を掛けたと見えるのは、月が出てくるのであった。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 287
詞書「題しらず」
山の稜線に、曇りなく澄んだ鏡を掛けたように見えたのは、実は月がのぼってくるところであった、と詠む。山の端に現れた満月の円く明るい姿を、神前に掛ける真澄の鏡に見立て、見立てから実景へと気づく形で月の出の清らかさを表している。
作者の「藤原基俊」は右大臣藤原俊家の子である。堀河院歌壇で源俊頼と並び称された歌人で、千載和歌集の撰者藤原俊成の師にあたる。官位には恵まれず、従五位上にとどまった。
本巻の第二百七十五首が雲の向こうで暮れを待つ月を、第二百七十六首が高嶺からのぼる月を詠んだのに続き、本歌は山の端に現れる月の出の瞬間を詠む。
初句「山の端に」の「山の端」は山の稜線で、月の出るところである。
二句「ますみの鏡」は、よく澄んで曇りのない鏡で、円く明るい月の見立てとなる。
三句「掛けたりと」の「たり」は存続の助動詞で、掛けてあると、の意である。
四句「見ゆるは月の」は、見えるのは月の、の意で、見立てを打ち明ける。
結句「出づるなりけり」の「なりけり」は、〜であったのだ、という気づきを表す。鏡と見えたものが月の出であったと気づく心を示す。
ますみのかがみ:よく澄んで曇りのない鏡
- 作者
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藤原基俊
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ひくまなくても年の経ぬるかな 物言ひ交はせ秋の夜の月
- 次の歌
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秋の夜や天の川瀬は凍るらむ 月の光の冴えまさるかな