いかにして岩間も見えぬ夕暮れに
戸無瀬の筏落ちて来つらん
- 歌の意味
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どのようにして、岩の間も見えない夕暮れの中を、戸無瀬の筏は流れ下ってきたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 345
詞書「百首歌たてまつりける時、よめる」
百首歌を詠進した折の歌である。岩と岩の間も見分けられないほど暗い夕暮れに、戸無瀬の急流を、筏はどのようにして流れ下ってきたのだろうか、と詠む。危険な急流を見通しのきかない夕暮れに下ってきた筏に驚き、その巧みさを思いやっている。
作者の「前参議親隆」は藤原親隆である。藤原為房の子で、参議に至った。
なお本文の三句は「夕暮に」とあり、読み仮名の行の「ゆふきりに」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「いかにして」は、どのようにして、と方法を問う。
二句「岩間も見えぬ」の「岩間」は岩と岩の間で、筏が通るべき水路をいう。「ぬ」は打消の助動詞で、それすら見えない暗さを示す。
三句「夕暮れに」は、時を示す。暗さによって二句の「見えぬ」の理由を示す。
四句「戸無瀬の筏」の「戸無瀬」は、山城国の大堰川の上流、嵐山のあたりの急流である。「筏」は材木を組んで川に流すものである。
結句「落ちて来つらん」の「らん」は現在推量の助動詞「らむ」で、初句の「いかにして」を受けて、どのようにして流れ下ってきたのだろうか、と推し量る。
となせ:山城国の大堰川の上流、嵐山のあたりの急流
いかだ:材木を組んで川に流すもの
いはま:岩と岩の間
- 作者
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藤原親隆
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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秋深みたそかれ時の藤袴 匂ふは名のる心地こそすれ
- 次の歌
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今朝見ればさながら霜をいただきて 翁さびゆく白菊の花