今朝見ればさながら霜をいただきて
翁さびゆく白菊の花
- 歌の意味
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今朝見ると、まるで霜をそのまま頭にいただいたようにして、老人めいてゆく白菊の花よ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 346
詞書「法性寺入道前太政大臣、内大臣に侍りける時、家の歌合に、残菊をよめる」
法性寺入道前太政大臣藤原忠通が内大臣であった頃、その邸で催された歌合で「残菊」の題を詠んだ歌である。今朝見ると、白菊の花が霜をそのまま頭にいただいて、白髪の老人のように年老いてゆく、と詠む。霜を白髪に、盛りを過ぎた菊を老人に見立て、季節に取り残された残菊の姿を描いている。
作者の「藤原基俊」は右大臣藤原俊家の子である。源俊頼と並ぶ院政期の歌壇の重鎮で、藤原俊成の師にあたる。小倉百人一首にも歌が採られている。
本巻の第三百四十六首から第三百五十首までの五首は菊の歌で、第三百四十六首第三百四十八首第三百五十首は結句に「白菊の花」を置く。
初句「今朝見れば」は、今朝見ると、の意で、霜の降りた朝の発見を示す。
二句「さながら霜を」の「さながら」は、そのまま、すっかり、の意である。
三句「いただきて」の「いただく」は頭の上に載せる意で、霜を白髪に見立てる。
四句「翁さびゆく」の「翁さぶ」は老人らしくなる意で、白菊を年老いてゆく人に見立てる擬人法である。題の「残菊」の盛りを過ぎたさまを示す。
結句「白菊の花」は体言止めである。本巻の第三百四十八首第三百五十首も同じ結句を置く。
おきなさぶ:老人らしくなる、年寄りじみる
いただく:頭の上に載せる
- 作者
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藤原基俊
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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いかにして岩間も見えぬ夕暮れに 戸無瀬の筏落ちて来つらん
- 次の歌
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白菊の葉に置く露に宿らずは 花とぞ見まし照らす月影