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いかばかり秋の名残を眺めまし
今朝は木の葉に嵐吹かずは

歌の意味
どれほど秋の名残を眺めていられただろう。今朝、木の葉に嵐が吹きつけなかったならば。
鑑賞
巻第六 冬歌 388

詞書は前の歌に続き「堀河院御時、百首歌たてまつりける時、初冬の心をよみ侍りける」
 堀河百首の初冬の題で詠んだ歌である。今朝、木の葉に嵐が吹きつけなかったならば、どれほど秋の名残を眺めていられただろう、と詠む。冬の初めの朝の嵐が、わずかに残っていた紅葉を散らしてしまったことを惜しみ、秋の名残を味わう間もなく冬が来たことを嘆いている。
 作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
 本歌から第三百八十九首までの三首は、堀河百首の初冬の歌である。堀河百首は、堀河天皇の時代に源俊頼、藤原公実らが題を分けて百首ずつ詠んだもので、後の百首歌の規範となった。

 初句「いかばかり」は、どれほど、の意で、三句の「まし」と呼応して、どれほど眺めたことだろう、と仮定の程度を示す。
 二句「秋の名残を」の「名残」は、過ぎ去ったもののあとに残る気配やなごりである。ここでは枝に残る紅葉を指す。
 三句「眺めまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、結句の「ずは」と呼応する。ここで句切れとなり、下の句と倒置になっている。
 四句「今朝は木の葉に」は、冬に入った今朝、木の葉に、の意で、嵐の吹きつける先を示す。
 結句「嵐吹かずは」の「ずは」は、もし〜しなかったならば、の意で、事実に反する仮定を示す。嵐が吹いてしまった現実を裏から嘆いている。

なごり:過ぎ去ったもののあとに残る気配
ながむ:もの思いにふけりながらじっと見る
作者
源俊頼
出典
千載和歌集
前の歌
昨日こそ秋は暮れしかいつの間に 岩間の水の薄氷るらん
次の歌
泉川水のみわたのふしづけに 柴間の氷る冬は来にけり