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久木生ふる小野の浅茅に置く霜の
白きを見れば夜や更けぬらん

歌の意味
久木の生えている野の浅茅に置いた霜の白さを見ると、夜はもう更けてしまったのだろうか。
鑑賞
巻第六 冬歌 399

詞書は前の歌に続き「堀河院御時、百首歌たてまつりける時、よめる」
 堀河百首の歌である。久木の生えている野の浅茅に置いた霜の白さを見ると、夜はもう更けたのだろうか、と詠む。霜の白さから夜の更けたことを知るという趣向で、冷え込みの深まる冬の夜を描いている。
 作者の「藤原基俊」は右大臣藤原俊家の子である。源俊頼と並ぶ院政期の歌壇の重鎮で、藤原俊成の師にあたる。小倉百人一首にも歌が採られている。
 大伴家持の作と伝えられ、小倉百人一首にも採られた「鵲の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」を本歌とし、三句から下をほぼそのまま借りている。また「久木生ふる」は、万葉集の山部赤人の歌の句をふまえたものである。

 初句「久木生ふる」の「久木」は落葉高木の名で、アカメガシワまたはキササゲとされる。万葉集の山部赤人の歌にも詠まれた語である。
 二句「小野の浅茅に」の「小野」は野、「浅茅」は丈の低いまばらな茅萱である。
 三句「置く霜の」は、浅茅の上に降りた霜の、の意である。本歌とした家持の歌と同じ三句で、前歌の第三百九十八首の「霜や置くらん」から、本歌では目に見える霜へと移る。
 四句「白きを見れば」の「ば」は順接の確定条件で、白さを見ると、の意である。
 結句「夜や更けぬらん」の「や」は疑問の係助詞で、「らん」と連体形で結ぶ。本歌の「夜ぞ更けにける」の断定を、推量の問いに改めている。

ひさぎ:落葉高木の名で、アカメガシワまたはキササゲとされる
をの:野、野原
あさぢ:丈の低いまばらな茅萱
作者
藤原基俊
出典
千載和歌集
前の歌
高砂の尾上の鐘の音すなり 暁かけて霜や置くらん
次の歌
冬来ては一夜二夜を玉笹の 葉分けの霜のところせきまで