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夕まぐれ山片づきて立つ鳥の
羽音に鷹を合はせつるかな

歌の意味
夕暮れどき、山の片側に寄ったあたりから飛び立つ鳥の、その羽音に合わせて、鷹を放ったことだ。
鑑賞
巻第六 冬歌 423

詞書は前の歌に続き「堀河院の御時、百首歌たてまつりける時、鷹狩の心をよめる」
 堀河百首の鷹狩の題で詠んだ歌である。夕暮れどき、山の片側に寄ったあたりから飛び立つ鳥の羽音に合わせて、鷹を放った、と詠む。薄暗くて鳥の姿が見えにくい夕暮れに、羽音を頼りにすかさず鷹を合わせる、鷹狩の緊張した一瞬をとらえている。
 作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
 第四百二十一首から第四百二十三首までの三首は、堀河百首の鷹狩の歌である。堀河百首は、堀河天皇の時代に源俊頼、藤原公実らが題を分けて百首ずつ詠んだもので、後の百首歌の規範となった。鷹狩は飼いならした鷹を放って鳥を捕らえる狩りで、冬の景物とされた。

 初句「夕まぐれ」は、夕暮れどきの薄暗いころをいう。第四百二十一首が日の暮れるまでの一日を詠むのに対し、本歌は夕暮れの一瞬をとらえる。
 二句「山片づきて」の「片づく」は一方に寄る意で、山の片側に寄ったところ、山すそに沿ったあたりをいう。
 三句「立つ鳥の」の「立つ」は鳥が飛び立つ意である。
 四句「羽音に鷹を」は、鳥の羽音を合図に、の意で、薄暗く姿の見えない鳥を音でとらえる。前歌の第四百二十二首が鈴の音で鷹をたどるのに続き、本歌も音を頼りにする。
 結句「合はせつるかな」の「合はす」は、獲物に向けて鷹を放つ意である。「かな」は詠嘆の終助詞である。

ゆふまぐれ:夕暮れどきの薄暗いころ
かたづく:一方に寄る
あはす:獲物に向けて鷹を放つ
作者
源俊頼
出典
千載和歌集
前の歌
降る雪に行方も見えずはし鷹の 尾ぶさの鈴の音ばかりして
次の歌
妹がりと佐保の川辺を我が行けば 小夜か更けぬる千鳥鳴くなり