須磨の関有明の空に鳴く千鳥
かたぶく月は汝も悲しき
- 歌の意味
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須磨の関で、有明の空に鳴く千鳥よ。西に傾いてゆく月は、お前にとっても悲しいのか。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 425
詞書「千鳥をよめる」
千鳥の題で詠んだ歌である。須磨の関で有明の空に鳴く千鳥に向かって、西に傾いてゆく月はお前にとっても悲しいのか、と呼びかける。夜明けに沈んでゆく月を惜しむ自分の悲しみを、鳴きつづける千鳥の声にも聞き取り、千鳥を同じ思いを抱く友として詠んでいる。
作者の「皇太后宮大夫俊成」は権中納言藤原俊忠の子である。後白河院の院宣を受けて本集、千載和歌集を撰んだ。藤原定家の父で、小倉百人一首にも歌が採られている。
第四百二十四首から第四百二十八首までの五首は千鳥を詠む歌である。千鳥は冬の川辺や海辺で鳴く鳥として、冬の景物とされた。
須磨の関の千鳥は、金葉和歌集に採られ小倉百人一首にも入る源兼昌の歌「淡路島通ふ千鳥の鳴く声に幾夜寝覚めぬ須磨の関守」で名高く、本歌もその情景をふまえている。
初句「須磨の関」は摂津国の須磨に置かれた関で、歌枕である。源兼昌の歌以来、千鳥とともに詠まれる。
二句「有明の空に」の「有明」は、夜が明けても月が空に残っている時分である。本巻の第四百六首の「有明の月」と同じ時分である。
三句「鳴く千鳥」は体言止めで、ここで句切れとなる。千鳥への呼びかけとなっている。
四句「かたぶく月は」の「かたぶく」は傾く意で、西の空に沈みかけた月をいう。
結句「汝も悲しき」の「汝」はお前、の意で、千鳥を指す。「悲しき」は連体形で止め、お前も悲しいのか、と問いかける余情を残す。
すまのせき:摂津国の須磨に置かれた関
ありあけ:夜が明けても月が空に残っている時分
かたぶく:傾く、沈みかける
な:お前
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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妹がりと佐保の川辺を我が行けば 小夜か更けぬる千鳥鳴くなり
- 次の歌
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岩越ゆる荒磯波に立つ千鳥 心ならでや浦伝ふらん