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この頃の鴛鴦の浮き寝ぞあはれなる
上毛の霜よ下の氷よ

歌の意味
この頃の鴛鴦の浮き寝は、まことにあわれである。上毛には霜が置き、下には氷が張っていることよ。
鑑賞
巻第六 冬歌 432

詞書「百首歌召しける時、よませ給うける」
 崇徳院が百首歌、いわゆる久安百首を召した折に自ら詠んだ歌である。この頃の鴛鴦の浮き寝はあわれである、上毛には霜が置き、下には氷が張っている、と詠む。上からも下からも寒さに責められる鴛鴦の浮き寝を、上下の対比によって印象深く描いている。
 作者の「崇徳院御製」は第七十五代の崇徳天皇である。鳥羽天皇の皇子で、保元の乱に敗れて讃岐に流された。久安百首を企て、藤原顕輔に詞花和歌集を撰ばせた。小倉百人一首にも歌が採られている。
 第四百二十九首から第四百三十七首までの九首は、水鳥を詠む歌である。鴛鴦や鴨などの水鳥は、冬の水辺の景物とされた。本歌と次歌の第四百三十三首は、久安百首の水鳥の歌である。久安百首は、崇徳院が藤原顕輔、藤原俊成らに召した百首歌で、久安六年(1150)に詠進された。

 初句「この頃の」は、冬も深まったこのごろの、の意である。
 二句「鴛鴦の浮き寝ぞ」の「浮き寝」は水に浮いたまま寝ることである。「ぞ」は強意の係助詞で、三句の「なる」と連体形で結ぶ。次歌の第四百三十三首、本巻の第四百三十四首も「浮き寝」を詠む。
 三句「あはれなる」は、しみじみと哀れである、の意で、ここで句切れとなる。
 四句「上毛の霜よ」の「上毛」は鳥の体の表面を覆う羽毛である。本巻の第四百二十九首の「上毛の霜」と同じ語である。「よ」は詠嘆の間投助詞である。
 結句「下の氷よ」は、四句と対句をなし、上の霜と下の氷とを並べる。上下の対比によって、寒さに囲まれた鴛鴦の浮き寝を描き出している。

うきね:水に浮いたまま寝ること
うはげ:鳥の体の表面を覆う羽毛
をし:オシドリ
作者
崇徳院
出典
千載和歌集
前の歌
水鳥の玉藻の床のうき枕 深き思ひは誰かまされる
次の歌
難波潟入り江を巡る葦鴨の 玉藻の船に浮き寝すらしも