鴨の居る入り江の葦は霜枯れて
おのれのみこそあをばなりけれ
- 歌の意味
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鴨のいる入り江の葦は霜に枯れてしまって、鴨自身だけが青い羽、すなわち青葉であることだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 435
詞書「水鳥の歌とてよめる」
水鳥の歌として詠んだものである。鴨のいる入り江の葦は霜に枯れてしまって、鴨自身だけが青葉のように青い羽をしている、と詠む。葦の葉が枯れて色を失った冬の入り江で、鴨の青い羽の色だけが青葉のように残っているという、色の対比に興じた歌である。
作者の「道因法師」は藤原敦頼である。藤原清孝の子で、晩年に出家した。歌道への執心の深さで知られ、小倉百人一首にも歌が採られている。
第四百二十九首から第四百三十七首までの九首は、水鳥を詠む歌である。鴛鴦や鴨などの水鳥は、冬の水辺の景物とされた。本歌と次歌の第四百三十六首は同じ詞書のもとに置かれた水鳥の歌である。
初句「鴨の居る」の「居る」は、そこにいる、とどまっている意である。
二句「入り江の葦は」は、入り江に生える葦は、の意である。前々歌の第四百三十三首の「入り江を巡る葦鴨」と、入り江と葦と鴨という同じ景物を詠む。
三句「霜枯れて」は、霜にあたって枯れて、の意で、色を失った葦をいう。
四句「おのれのみこそ」の「おのれ」は鴨自身を指す。「こそ」は強意の係助詞で、結句の「けれ」と已然形で結ぶ。
結句「あをばなりけれ」の「あをば」は、鴨の青い羽の「青羽」と、青々とした葉の「青葉」とを掛ける掛詞である。「けれ」は詠嘆の助動詞「けり」の已然形である。
しもがる:霜にあたって草木が枯れる
おのれ:自分自身。ここでは鴨を指す
あをば:鴨の青い羽の「青羽」と、青々とした「青葉」を掛ける
- 作者
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道因
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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鴛鴦の浮き寝の床や荒れぬらん つららゐにけり昆陽の池水
- 次の歌
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置く霜を払ひかねてやしをれ伏す かつみが下に鴛鴦の鳴くらん