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もろともに行く人もなき別れ路に
涙ばかりぞ止まらざりける

歌の意味
一緒に行く人もいない別れの旅路で、涙だけはとどまらずに流れつづけたことだ。
鑑賞
巻第七 離別歌 487

詞書「修行に出でて熊野に詣で侍りける時、人に遣はしける」
 修行の旅に出て熊野に参詣した時、人に贈った歌である。一緒に行く人もいない別れの旅路で、涙だけはとどまることがなかった、と詠む。ひとりで険しい熊野への道をたどる心細さと、別れてきた人への思いを、止まらない涙に託している。
 作者の「道命法師」は右大将藤原道綱の子である。天台宗の僧で天王寺の別当を務め、読経の美声で知られた。中古三十六歌仙の一人である。

 初句「もろともに」は、一緒に、の意である。
 二句「行く人もなき」は、同行する人もいない、の意で、ひとりで修行の旅に出ることをいう。
 三句「別れ路に」の「別れ路」は、別れて行く旅路の意である。本巻の第四百七十九首にも同じ語が見える。
 四句「涙ばかりぞ」の「ばかり」は限定の副助詞、「ぞ」は強意の係助詞で、結句の「ける」と連体形で結ぶ。
 結句「止まらざりける」の「ざり」は打消しの助動詞「ず」の連用形、「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形である。涙だけが止まらなかった意に、同行する人はいないが涙だけはあとにとどまらず自分について来た、という意を重ねて読むこともできる。

まうづ:社寺に参詣する
わかれぢ:別れて行く道、旅路
作者
道命
出典
千載和歌集
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年経たる人の心を思ひやれ 君だに恋ふる花の都を
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