わたの原潮路遥かに見渡せば
雲と波とは一つなりけり
- 歌の意味
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大海原の潮路をはるかに見渡すと、雲と波とはひとつに溶け合っていることだ。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 530
詞書は前の歌に続き「家に百首歌よませ侍りける時、旅の歌とてよみ侍りける」
前歌に続き、九条兼実の家の百首歌で旅の題を詠んだ歌である。大海原の潮路をはるかに見渡すと、雲と波とはひとつに溶け合っている、と詠む。水平線のかなたで空の雲と海の波とが見分けられなくなる雄大な景をありのままに詠み、海路の旅の果てしなさを表している。
作者の「刑部卿頼輔」は藤原頼輔である。大納言藤原忠教の子で、刑部卿を務めた。蹴鞠の名手として知られる。
詞花和歌集の藤原忠通の歌に、大海原に漕ぎ出して見ると沖の白波が雲と見まがうと詠むものがあり、小倉百人一首にも採られている。本歌の雲と波とがひとつになる景はこれに通じる。
初句「わたの原」は大海原の意である。本巻の第五百十六首も同じ「わたの原」で始まり、第五百十六首が海上で都の月を見るのに対し、本歌は雲と波の景を見渡す。
二句「潮路遥かに」の「潮路」は海の上の道、航路の意である。
三句「見渡せば」の「ば」は確定条件で、見渡すと、の意である。
四句「雲と波とは」は、空の雲と海の波とは、の意である。
結句「一つなりけり」の「けり」は気づきの詠嘆の助動詞で、ひとつになっていることだ、の意である。
わたのはら:大海原
しほぢ:海の上の道、航路
- 作者
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藤原頼輔
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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はるばると津守の沖を漕ぎ行けば 岸の松風遠ざかるなり
- 次の歌
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あはれなる野島が崎の庵かな 露置く袖に波もかけけり