恋ひ死なば世のはかなきに言ひ置きて
なき跡までも人に知られじ
- 歌の意味
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もし恋い死にしたなら、世の無常のために死んだのだと言い残しておいて、亡くなった後までも、恋のためとは人に知られまい。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 666
詞書「歌合し侍りける時、忍ぶ恋の心を詠み侍りける」
歌合が催された時に「忍ぶ恋」の題で詠んだ歌である。恋い死にしたなら、世のはかなさのためだと言い残して、死んだ後までも人に知られまい、と詠む。恋のために命を落としても、その原因は世の無常のせいにしておき、死後までも恋を秘め通そうという、忍ぶ恋の極まった覚悟を詠んでいる。
作者の「刑部卿頼輔」は藤原頼輔である。大納言藤原忠教の子で、刑部卿を務めた。蹴鞠の名手として知られた。
次歌の第六百六十七首も同じ詞書のもとに置かれ、同じ歌合で「忍ぶ恋」を詠んだ歌である。
初句「恋ひ死なば」の「死な」は「死ぬ」の未然形で、「ば」が付いて仮定条件となる。もし恋い死にしたならば、の意である。
二句「世のはかなきに」は、世の無常のためであると、の意である。
三句「言ひ置きて」は、言い残しておいて、の意である。
四句「なき跡までも」は、死んだ後までも、の意である。
結句「人に知られじ」の「れ」は受身の助動詞「る」の未然形、「じ」は打消し意志の助動詞で、人に知られまい、の意である。題の「忍ぶ恋」を死後にまで及ぼしている。
こひしぬ:恋の思いのために死ぬ
なきあと:死んだ後
いひおく:言い残す
- 作者
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藤原頼輔
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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難波女のすくも焚く火の下焦がれ 上はつれなき我が身なりけり
- 次の歌
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人知れぬ涙の川の水上や いはでの山の谷の下水