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永らへばつらき心も変はるやと
定めなき世を頼むばかりぞ

歌の意味
生き永らえていれば、あの人の冷たい心も変わるかと、定めのないこの世の移ろいを頼みにするばかりだ。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 679

詞書「題しらず」
 生き永らえれば、つれない心も変わるかと、定めない世を頼みにするばかりだ、と詠む。世が無常で何事も移り変わることを、ふつうは嘆きの種とするところを逆に頼みとし、相手の冷淡な心もいつか変わるかもしれないと望みをつなぐ、屈折した恋心を詠んでいる。
 作者の「刑部卿頼輔」は藤原頼輔である。大納言藤原忠教の子で、刑部卿を務めた。蹴鞠の名手として知られた。
 本巻の第六百五十三首の「つれなき人」、第六百六十九首の「つれもなき人の心」など、冷淡な相手を詠む歌が見られる。

 初句「永らへば」の「永らへ」は生き永らえる意の「永らふ」の未然形で、「ば」が付いて仮定条件となる。
 二句「つらき心も」は、相手の冷淡な心も、の意である。
 三句「変はるやと」の「や」は疑問で、変わるだろうかと、の意である。
 四句「定めなき世を」は、無常で移り変わる世を、の意である。三句の「変はる」と照応し、無常をかえって頼みとする。
 結句「頼むばかりぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、文末に置かれて断定を強める。頼みにするばかりだ、の意である。

ながらふ:生き永らえる
たのむ:頼みにする、あてにする
作者
藤原頼輔
出典
千載和歌集
前の歌
先に立つ涙とならば人知れず 恋路に惑ふ道しるべせよ
次の歌
漏らさばや忍び果つべき涙かは 袖のしがらみかくとばかりも