老いらくの命のあまり長くして
君に二たび別れぬるかな
- 歌の意味
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老いた身の命があまりにも長かったために、わが君に二度も別れることになってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第九 哀傷歌 554
詞書「花山院隠れさせ給うての頃、よみ侍りける」
花山院が崩御した頃に詠んだ歌である。老いた身の命があまりにも長かったので、わが君に二度も別れてしまった、と詠む。仕えた花山院が寛和二年(986)に出家して位を去った時が一度目、寛弘五年(1008)に崩御した時が二度目の別れで、長生きしたばかりに主君との別れを二度も味わったという、老臣の深い嘆きを表している。
作者の「藤原長能」は伊勢守藤原倫寧の子で、右大将道綱の母の弟にあたる。花山院に親しく仕え、能因法師の和歌の師としても知られる。中古三十六歌仙の一人である。
初句「老いらくの」の「老いらく」は、年老いること、老年の意である。
二句「命のあまり」の「あまり」は、度を越して、の意で、三句の「長く」にかかる。
三句「長くして」は、長かったために、の意で、下の句の理由を示す。
四句「君に二たび」の「君」は花山院を指す。二たびは、出家による退位と崩御の二度の別れをいう。
結句「別れぬるかな」の「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞で、別れてしまったことだ、の意である。
おいらく:年老いること、老年
かくる:貴人が亡くなる
- 作者
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藤原長能
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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後れじと思へど死なぬ我が身かな ひとりや知らぬ道を行くらん
- 次の歌
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一声も君に告げなん郭公 この五月雨は闇にまどふと