古典和歌stream

我が友と君が御垣の呉竹は
千代に幾世の陰を添ふらん

歌の意味
君が我が友として御垣に植えた呉竹は、千代の上に、さらに幾世の陰を添えることであろう。
鑑賞
巻第十 賀歌 608

詞書は前の歌に続き「御子におはしましける時、鳥羽殿に渡らせ給ひけるころ、八条院内親王と申しける時、かの御方にて竹遐年友といへる心を講ぜられけるに、詠ませ給うける」
 前の二首と同じ会で詠んだ歌である。君が我が友として御垣に植えた呉竹は、千代の上にさらに幾世の陰を添えるのであろう、と詠む。竹を友とする題の趣をそのまま取り入れ、竹の陰が千代の上に幾世を重ねるとして、限りない長寿を祝っている。
 作者の「皇太后宮大夫俊成」は権中納言藤原俊忠の子である。皇太后宮大夫を務め、のちに出家して釈阿と号した。後白河院の命を受けて本集を撰んだ。この会の頃はまだ顕広と名のっていた。
 一連の三首目である。第六百六首の「呉竹や」を受けて「呉竹は」と詠み、第六百七首の「籬の竹」に対して「君が御垣」の竹を詠んで、三首で一つの会のまとまりをなしている。

 初句「我が友と」は、我が友として、の意で、題の「友」を詠み込む。「我が」は君の立場からいう。
 二句「君が御垣の」の「御垣」は垣の敬称で、貴人の邸の垣をいう。前歌の二句「籬の竹の」と応じる。
 三句「呉竹は」は、第六百六首の三句「呉竹や」と同じ語で、一連を結びつける。
 四句「千代に幾世の」は、千代の上にさらに幾世を、の意である。「世」は竹の節の「よ」に通い、竹の縁で年月を重ねる趣を表す。
 結句「陰を添ふらん」の「陰」は竹の木陰で、庇護の意を含む。「らん」は現在推量の助動詞「らむ」で、添えるのであろう、の意である。

みかき:貴人の邸の垣の敬称
かげ:木陰。転じて庇護、恩恵
そふ:付け加える
作者
藤原俊成
出典
千載和歌集
前の歌
植ゑて見る籬の竹の節ごとに こもれる千代は君ぞ数へん
次の歌
君が代は天の香具山出づる日の 照らむ限りは尽きじとぞ思ふ