行く末をまつぞ久しき君が経ん
千代の始めの子の日と思へば
- 歌の意味
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君の行く末を待つ思いは久しく、子の日の松のように長いことだ。今日は君が経ていく千代の始めとなる子の日だと思うと。
- 鑑賞
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巻第十 賀歌 617
詞書「堀河院御時、百首歌奉りける時、子日の心を詠める」
堀河天皇の御代に百首歌を奉った時、子の日の題で詠んだ歌である。君の行く末を待つ思いは久しい、今日は君が経ていく千代の始めの子の日だと思うと、と詠む。正月の初子の日に野に出て小松を引き、長寿を祈る行事を背景に、「待つ」に「松」を響かせ、千年の松の寿命に君の行く末を重ねて祝っている。この百首歌は堀河百首である。
作者の「二条太皇大后宮肥後」は藤原定成の娘とされる。二条太皇太后令子内親王に仕えた女房で、堀河百首の作者の一人である。
本巻の第六百十首「千代の始めなるらん」、第六百二十三首「千代経べき始めの春」とも、千代の始めを祝う趣が共通する。
初句「行く末を」は、これから先の将来を、の意である。
二句「まつぞ久しき」の「まつ」は、行く末を待つ意の「待つ」と、子の日に引く「松」を掛ける。「ぞ」は強意の係助詞で、「久しき」の連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
三句「君が経ん」の「経」は年月を過ごす意、「ん」は推量の助動詞「む」の連体形で、君が過ごしていくであろう、の意である。
四句「千代の始めの」は、千代の年月の最初の、の意である。第六百十首の結句「始めなるらん」と響き合う。
結句「子の日と思へば」の「子の日」は正月の初子の日で、野に出て小松を引き、若菜を摘んで長寿を祈った。「思へば」は已然形に「ば」が付いた確定条件で、二句と倒置の関係にある。
まつ:待つ意と、子の日に引く松を掛ける
ねのひ:正月の初子の日。小松を引いて長寿を祈った
ふ:年月を過ごす、経る
- 作者
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肥後
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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千早ぶる斎の宮の有栖川 松とともにぞ影はすむべき
- 次の歌
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奥山の八つ峰の椿君が代に 幾度影を変へんとすらん