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君が代をなが月にしも白菊の
咲くや千歳のしるしなるらん

歌の意味
君の御代を長くと願う、その長月にちょうど白菊が咲くのは、千年の御代のしるしなのであろう。
鑑賞
巻第十 賀歌 619

詞書「保延二年法金剛院に行幸ありて、菊契多秋といへる心を詠ませ給うけるに、詠み侍りける」
 保延二年(1136)、崇徳天皇が法金剛院に行幸し、「菊は多くの秋を契る」という題で歌を詠ませた折の歌である。君の御代を長くと願う長月に、ちょうど白菊が咲くのは、千年の御代のしるしであろう、と詠む。九月の異名「長月」に「長」を読み取り、重陽の節句の花として長寿をもたらすとされた菊と合わせて、御代の長久を祝っている。法金剛院は崇徳天皇の母待賢門院の御願寺である。
 作者の「法性寺入道前太政大臣」は藤原忠通である。関白藤原忠実の子で、摂政、関白、太政大臣を歴任し、のちに出家して法性寺に住んだ。本集の撰集当時の摂政九条兼実の父である。小倉百人一首にも歌が採られている。
 本歌から第六百二十一首までの三首は同じ行幸の折の歌で、三首がともに菊を詠む。

 初句「君が代を」は、君の御代を、の意で、二句の「なが」にかかって、御代を長く、の意を導く。
 二句「なが月にしも」の「なが」は、九月の異名「長月」の「長」と、御代が長い意の「長」を掛ける。「しも」は強意の副助詞で、ちょうどその長月に、の意である。
 三句「白菊の」は、菊の中でも白菊をいう。第六百二十一首の結句「白菊の花」と共通する。
 四句「咲くや千歳の」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と連体形で結ぶ。
 結句「しるしなるらん」の「しるし」は兆し、証の意である。「らん」は現在推量の助動詞「らむ」の連体形で、四句の「や」を受けて結ぶ。本巻の第六百二十七首、第六百三十六首、第六百四十首も「しるし」と詠む。

ながつき:九月の異名長月の意と、御代が長い意を掛ける
しるし:兆し、証
ぎやうがう:天皇の外出、行幸
作者
藤原忠通
出典
千載和歌集
前の歌
奥山の八つ峰の椿君が代に 幾度影を変へんとすらん
次の歌
八重菊の匂ふにしるし君が代は 千歳の秋を重ぬべしとは