霜降れど栄えこそ増せ君が代に
あふさか山の関の杉森
- 歌の意味
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霜が降りても、栄えはいっそう増すことだ。君の御代に逢った逢坂山の関の杉の森は。
- 鑑賞
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巻第十 賀歌 639
詞書「高倉の院の御時、仁安三年大嘗会悠紀方の御屏風歌」
高倉天皇の御代、仁安三年(1168)の大嘗会で、悠紀方の御屏風に添えた歌である。霜が降りても栄えはいっそう増すことだ、君の御代に逢った逢坂山の関の杉の森は、と詠む。霜にも枯れない常緑の杉が、新帝の御代に逢ってますます栄えると詠み、近江国の歌枕である逢坂山を詠み込んで、御代の長久を祝っている。
作者の「宮内卿永範」は藤原永範である。藤原南家の儒者で、文章博士を務め、宮内卿に至った。大嘗会の和歌をたびたび詠進した。
巻末の第六百四十首も悠紀方の歌で、近江国の三上山の杉群を詠み、本歌の逢坂山の杉森と、杉を詠む二首が巻を閉じる。
初句「霜降れど」の「降れ」は已然形で、「ど」が付いて逆接の確定条件となり、霜が降りても、の意である。
二句「栄えこそ増せ」の「増せ」は増す意の動詞「増す」の已然形で、係助詞「こそ」を受けて結ぶ。栄えがいっそう増す、の意である。ここで句切れとなる。
三句「君が代に」は、君の御代に、の意で、四句の「あふ」に続く。
四句「あふさか山の」の「あふさか」は、御代に「逢ふ」意と、地名の「逢坂」を掛ける。逢坂山は山城と近江の境にあり、関が置かれた。
結句「関の杉森」は、逢坂の関の杉の森の意で、体言止めである。巻末の第六百四十首の三句「杉群や」と、ともに杉を詠む。
あふさか:御代に逢ふ意と、地名の逢坂を掛ける
ゆき:大嘗会で神饌を奉る第一の国、またその儀
- 作者
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藤原永範
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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天地の極めも知らぬ御代なれば 雲田の村の稲をこそ舂け
- 次の歌
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常盤なる三上の山の杉群や 八百万代のしるしなるらん