涙川うき寝の鳥となりぬれど
人にはえこそみなれざりけれ
- 歌の意味
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涙の川に浮き寝する水鳥のように、憂いのうちに独り寝をする身となったが、水に馴れる鳥とは違って、あの人には見馴れることもできないでいる。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 670
詞書「恋の歌とて詠める」
恋の歌として詠んだ歌である。涙の川に浮き寝する鳥となったけれど、人には見馴れることもできない、と詠む。流す涙を川に見立て、その上に浮いて眠る水鳥に、涙にくれて独り寝する自分を重ねる。水鳥は水に馴れるが、自分は相手に逢い馴れることができないと、「みなれ」の掛詞で嘆いている。
作者の「藤原清輔朝臣」は左京大夫藤原顕輔の子である。六条藤家の歌学を継ぎ、「袋草紙」「奥義抄」などの歌学書を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
本巻の第六百六十七首の「涙の川」と同じく、涙を川に見立てる。
初句「涙川」は、流れる涙の多さを川にたとえた語である。第六百六十七首の二句「涙の川の」と同じ趣向である。
二句「うき寝の鳥と」の「うき寝」は、水鳥が水に浮いて寝る意の「浮き寝」と、つらい思いで寝る意の「憂き寝」を掛ける。
三句「なりぬれど」の「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、「ど」が付いて逆接となる。
四句「人にはえこそ」の「え」は下の打消しと呼応して不可能を表し、「こそ」は強意の係助詞で、結句の「けれ」と已然形で結ぶ。
結句「みなれざりけれ」の「みなれ」は、鳥が水に馴れる意の「水馴れ」と、相手に逢い馴れる意の「見馴れ」を掛ける。「けれ」は四句の「こそ」を受けて結ぶ。
なみだがは:流れる涙を川にたとえた語
うきね:水に浮いて寝る意と、憂いのうちに寝る意を掛ける
みなる:水に馴れる意と、見馴れる意を掛ける
- 作者
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藤原清輔
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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つれもなき人の心やあふさかの 関路隔つる霞なるらん
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我が恋は尾花吹き越す秋風の 音には立てじ身にはしむとも