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はかなしや枕定めぬうたた寝に
ほのかに迷ふ夢の通ひ路

歌の意味
はかないことだ。枕の向きも定めずにまどろむうたた寝のうちに、ほのかにさまよう夢の通い路は。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 677

詞書「百首歌詠み給ひける時、恋の歌」
 百首歌を詠んだ時の恋の歌である。はかないことだ、枕も定めないうたた寝に、ほのかにさまよう夢の通い路は、と詠む。枕を定めて寝ると思う人を夢に見られるという俗信を踏まえ、それすらしないうたた寝では、夢の中で恋人のもとへ通う道もおぼつかなくさまようばかりだと、恋のはかなさを幻想的に描いている。
 作者の「式子内親王」は後白河天皇の皇女である。若くして賀茂の斎院を務め、藤原俊成に和歌を学んだ。新古今時代を代表する女流歌人の一人で、小倉百人一首にも歌が採られている。
 本巻の第六百七十二首の「通ひ路」、第六百七十六首の「通ひ初めぬる」と、「通ふ」の語が続く。また第七百首も、夢に恋人を見る歌である。

 初句「はかなしや」は、はかないことだ、の意で、ここで句切れとなり、倒置の関係にある。
 二句「枕定めぬ」は、枕の位置や向きを定めない、の意である。枕を定めて寝ると恋しい人を夢に見るという俗信を踏まえる。
 三句「うたた寝に」は、横になってついまどろむ仮寝に、の意である。
 四句「ほのかに迷ふ」は、かすかにさまよう、の意で、夢の中で恋人のもとへの道をたどれないさまをいう。
 結句「夢の通ひ路」は、夢の中で恋人のもとへ通う道で、体言止めである。第六百七十二首の三句「通ひ路に」と同じ語である。

うたたね:横になってついまどろむこと
かよひぢ:通う道。ここでは夢の中で恋人のもとへ通う道
作者
式子内親王
出典
千載和歌集
前の歌
琴の音に通ひ初めぬる心かな 松吹く風にあらぬ身なれど
次の歌
先に立つ涙とならば人知れず 恋路に惑ふ道しるべせよ