陸奥の十綱の橋に繰る綱の
絶えずも人に言ひわたるかな
- 歌の意味
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陸奥の十綱の橋で繰る綱が絶えないように、絶えることなく、あの人に思いを言い続けていることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 716
詞書「百首歌奉りける時、恋歌とて詠める」
百首歌を奉った時、恋の歌として詠んだ歌である。この百首歌は崇徳院に奉った久安百首である。陸奥の十綱の橋で繰る綱のように、絶えることなく人に思いを言い続けていることだ、と詠む。上の三句は「絶えず」を導く序詞で、綱を繰って渡る陸奥の橋の珍しい景を借りて、思いを伝え続ける恋の根気強さを表している。
作者の「前参議親隆」は藤原親隆である。藤原為房の子で、参議に至った。久安百首の作者の一人である。
初句「陸奥の」は、陸奥国の、の意で、遠い東国の地を示す。
二句「十綱の橋に」の「十綱の橋」は陸奥国の歌枕で、綱をたぐって渡ったとされる橋である。
三句「繰る綱の」は、たぐる綱が、の意で、上三句が序詞となって四句の「絶えず」を導く。
四句「絶えずも人に」は、絶えることなく人に、の意で、綱が切れないことと、思いを伝え続けることとを重ねる。
結句「言ひわたるかな」の「わたる」は、し続ける、の意で、二句の「橋」の縁語となる。「かな」は詠嘆の終助詞で、言い続けていることだ、の意である。
とつなのはし:陸奥国の歌枕。綱をたぐって渡る橋
くる:綱などをたぐる
いひわたる:言い続ける
- 作者
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藤原親隆
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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恋ひわたる涙の川に身を投げん この世ならでも逢ふ瀬ありやと
- 次の歌
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恋ひわたる今日の涙に比ぶれば 昨日の袖は濡れしものかは