せきかぬる涙の川の早き瀬は
逢ふよりほかのしがらみぞなき
- 歌の意味
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せき止めかねる涙の川の速い流れには、恋しい人に逢うこと以外に、それをせき止めるしがらみはないのだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 723
詞書は前の歌に続き「題しらず」
せき止めかねる涙の川の速い瀬には、逢うよりほかにしがらみはない、と詠む。あふれ出る涙を川の急流に見立て、その流れを止められるのは恋人に逢うことだけだと、逢瀬を切に求める思いを表している。
作者の「前右京権大夫頼政」は源頼政である。兵庫頭源仲政の子で、右京権大夫を務めた武将、歌人である。のちに以仁王を奉じて平家打倒の兵を挙げ、宇治で敗死した。
「涙の川」は本巻の第七百十五首にも詠まれ、第七百六十九首は「しがらみ」と「涙川」をともに詠んで、本歌と同じ見立てを用いている。
初句「せきかぬる」は、せき止めることができない、の意で、二句の「涙の川」にかかる。
二句「涙の川の」は、流れる涙の多さを川に見立てた表現である。本巻の第七百十五首の二句「涙の川に」と同じ見立てである。
三句「早き瀬は」は、流れの速い瀬は、の意で、とめどなく流れる涙をいう。
四句「逢ふよりほかの」は、恋人に逢うこと以外の、の意である。
結句「しがらみぞなき」の「しがらみ」は川の流れをせき止めるために杭を打ち、柴や竹を絡めたものをいう。「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「なき」と係り結びをなす。第七百六十九首の三句「しがらみも」と同じ語を用いる。
せきかぬ:せき止めかねる
しがらみ:川の流れをせき止めるため、杭を打って柴や竹を絡めたもの
- 作者
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源頼政
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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恋ひ死なん命を誰に譲り置きて つれなき人の果てを見せまし
- 次の歌
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我が恋は年経るかひもなかりけり うらやましきは宇治の橋守