袖の色は人の問ふまでなりもせよ
深き思ひを君し頼まば
- 歌の意味
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涙に染まった袖の色は、人が不審に思って尋ねるほどになってもかまわない。私の深い思いを、あなたが信じてくれるのならば。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 745
詞書「百首歌の中に、恋の心を」
百首歌のうちの、恋の心を詠んだ歌である。袖の色は人が問うほどになってもかまわない、深い思いをあなたが頼みにしてくれるならば、と詠む。恋の涙で紅に染まった袖の色が人に見とがめられ、忍ぶ恋が知られてもよい、ただ自分の深い思いを相手が信じてくれさえすれば、という覚悟を示した歌である。
作者の「式子内親王」は後白河天皇の皇女である。若くして賀茂の斎院を務め、藤原俊成に和歌を学んだ。新古今時代を代表する女流歌人の一人で、小倉百人一首にも歌が採られている。
本巻の第七百四十首が涙の色を人に知られまいとしたのに対し、本歌は袖の色を人に問われてもよいと詠み、忍ぶ恋への態度が対照的である。第七百六首、第七百二十一首の「涙の色」とも通う。
初句「袖の色は」は、涙に染まった袖の色は、の意である。六音の字余りとなる。本巻の第七百四十首の「涙の色」と通う。
二句「人の問ふまで」は、人が不審に思って尋ねるほどまで、の意である。
三句「なりもせよ」の「せよ」は命令形で、なるならなってもかまわない、という放任の意を表す。ここで句切れとなり、四句以下と倒置の関係にある。
四句「深き思ひを」は、私の深い思いを、の意である。
結句「君し頼まば」の「し」は強意の副助詞で、あなたさえ頼みにしてくれるならば、の意である。
たのむ:信頼してあてにする
- 作者
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式子内親王
- 出典
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千載和歌集
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などやかくさも暮れがたき大空ぞ 我が待つことはありと知らずや
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秋は惜し契りは待たるとにかくに 心にかかる暮れの空かな