秋は惜し契りは待たるとにかくに
心にかかる暮れの空かな
- 歌の意味
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過ぎゆく秋は惜しく、約束の逢瀬は待たれる。どちらにしても、心にかかる暮秋の夕暮れの空であることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 746
詞書「契暮秋恋といへる心を詠み侍りける」
「契暮秋恋」、すなわち晩秋の頃に逢おうと約束した恋という題で詠んだ歌である。秋は惜しく、約束の日は待たれる、どちらにしても心にかかる暮れの空であることよ、と詠む。秋の終わりは惜しいが、その頃に逢う約束をしているので待ち遠しくもあるという、相反する二つの思いを、晩秋の夕暮れの空に重ねて表している。
作者の「左近中将良経」は藤原良経である。摂政藤原兼実の子で、本集の撰集当時は左近中将であった。のちに摂政太政大臣に至り、新古今和歌集の仮名序を書いた。小倉百人一首にも歌が採られている。
第七百四十四首、第七百四十九首も「暮れ」を詠み、本巻には夕暮れを待つ恋の歌が繰り返し置かれている。本歌の「暮れ」は一日の暮れと、秋の暮れとを重ね、時の尺度を一日から季節へと広げている。
初句「秋は惜し」は、過ぎゆく秋は惜しい、の意である。
二句「契りは待たる」の「る」は自発の助動詞で、約束の逢瀬は自然と待たれる、の意である。初句と対になり、惜しむ思いと待つ思いとを並べる。
三句「とにかくに」は、あれこれと、どちらにしても、の意である。
四句「心にかかる」は、気にかかる、の意である。
結句「暮れの空かな」の「暮れ」は、一日の夕暮れと、秋の暮れとを重ねる。「かな」は詠嘆の終助詞で、暮れの空であることよ、の意である。本巻の第七百四十四首、第七百四十九首も「暮れ」を詠む。
ちぎり:約束。ここでは逢う約束
- 作者
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藤原良経
- 出典
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千載和歌集
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袖の色は人の問ふまでなりもせよ 深き思ひを君し頼まば
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恋をのみしぐるる空のうき雲は 曇りもあへず袖濡らしけり