恋ひ死なば我ゆゑとだに思ひ出でよ
さこそはつらき心なりとも
- 歌の意味
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私が恋い死にしたならば、せめて自分のせいだったと思い出してほしい。どれほどつれない心であるとしても。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 774
詞書「女のもとに遣はしける」
女のもとに贈った歌である。恋い死にしたならば、せめて自分のためだと思い出してほしい、どれほどつれない心であっても、と詠む。冷たい相手にはもはや報われることを望まず、ただ自分が死んだ後に、自分のために死んだのだと思い出してくれることだけを願う、悲痛な恋の訴えである。
作者の「権大納言実国」は内大臣藤原公教の子である。権大納言に至り、笛の名手としても知られた。
本巻の第七百三十四首は恋い死にするとだけでも知らせたいと詠み、本歌は恋い死にしたら思い出してほしいと詠んで、死を前にして相手に思いを知ってほしいという願いが通い合う。二句の「我ゆゑ」は第七百五十七首の初句と同じ語である。
初句「恋ひ死なば」の「ば」は未然形に付いて仮定を表し、恋い死にしたならば、の意である。
二句「我ゆゑとだに」の「我」は相手の立場からいう自分で、自分のせいだと、の意である。「だに」は最小限の願いを表す副助詞で、せめて、の意である。本巻の第七百五十七首の初句「我ゆゑの」と同じ語を用いる。
三句「思ひ出でよ」は命令形で、思い出してほしい、の意である。六音の字余りで、ここで句切れとなり、四句以下と倒置の関係にある。
四句「さこそはつらき」の「さこそ」は、どれほど、さぞ、の意で、どれほどつれない、の意である。
結句「心なりとも」の「とも」は逆接の仮定で、心であるとしても、の意である。
こひしぬ:恋い焦がれて死ぬ
- 作者
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藤原実国
- 出典
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千載和歌集
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恋しさをいかがはすべき思へども 身は数ならず人はつれなし
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ひたすらに恨みしもせじ先の世に 逢ふまでこそは契らざりけめ