押しなべて雪の白木綿かけてけり
いづれ榊の梢なるらん
- 歌の意味
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一面に、雪が白い木綿を掛けたように降り積もったことだ。これでは、どれが神前の榊の梢なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 神祇歌 1266
詞書「広田社歌合とて、人々詠み侍りける時、社頭雪といへる心を詠み侍りける」
広田社の歌合で人々が歌を詠んだ折、社頭の雪という題を詠んだ歌である。広田社は摂津国の神社で、この歌合は承安二年(1172)に催された。一面に雪の白木綿を掛けた、どれが榊の梢なのだろう、と詠む。神事では榊に白い木綿を掛けて神に捧げるが、雪が社頭の木々をすべて白く覆ったため、どの木にも木綿が掛けられたようで、どれが榊か見分けがつかないと、雪を木綿に見立てている。
作者の「権大納言実国」は藤原実国である。内大臣藤原公教の子で、権大納言に至った。笛の名手として知られた。
前歌までの社頭月に続いて社頭雪の題を詠み、月の光を霜に見立てた前歌の第千二百六十五首に対し、本歌は雪を木綿に見立て、ともに社頭の木々を白く覆うものを詠んでいる。
初句「押しなべて」は、一面に、すべて一様に、の意である。
二句「雪の白木綿」の「白木綿」は楮の繊維で作った白い布で、神事で榊に掛ける。雪を白木綿に見立てている。
三句「かけてけり」の「て」は完了の助動詞「つ」の連用形、「けり」は詠嘆の助動詞で、掛けたことだ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「いづれ榊の」は、どれが榊の、の意である。
結句「梢なるらん」の「らん」は現在推量の助動詞「らむ」で、梢なのだろうか、の意である。
しらゆふ:楮の皮の繊維で作った白い布、神事で榊などに掛ける
こずゑ:木の枝の先
- 作者
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藤原実国
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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住吉の松の行き合ひの隙よりも 月冴えぬれば霜は置きけり
- 次の歌
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めづらしく御幸をみわの神ならば しるしありまの出で湯なるべし