契りこしことの違ふぞ頼もしき
つらさもかくや変はると思へば
- 歌の意味
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これまで約束してきたことがたがえられるのが、かえって頼もしい。あなたのつれなさも、このように変わるのではないかと思うので。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 780
詞書「題しらず」
約束してきたことがたがえられるのがかえって頼もしい、あなたのつれなさもこのように変わるかと思えば、と詠む。約束が守られないという恋の嘆きの種を、裏返して頼みとする逆説の歌である。約束さえ変わるのなら、相手の冷たさもいつかは変わるだろうと、わずかな望みにすがる心を機知で表している。
作者の「藤原実方朝臣」は藤原定時の子である。叔父の藤原済時の養子となり、左近中将を務めたが、陸奥守として任地に下り、その地で没した。小倉百人一首にも歌が採られている。
恋歌三の巻頭の一首である。巻末の第八百三十九首は「忘るなよ世々の契りを」と契りを忘れないよう願う歌で、契りがたがうことを頼む巻頭の本歌と、契りの語で巻の始めと終わりが呼応している。
初句「契りこし」の「こ」はカ変動詞「来」の未然形、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、これまで約束してきた、の意である。巻末の第八百三十九首の二句「世々の契りを」と「契り」の語で呼応する。
二句「ことの違ふぞ」の「違ふ」は約束が食い違う、守られない意である。「ぞ」は強意の係助詞で、三句の「頼もしき」と連体形で結ぶ。
三句「頼もしき」は「ぞ」の結びで、ここで句切れとなり、下の句と倒置の関係にある。普通なら嘆くべきことを頼もしいとする逆説である。
四句「つらさもかくや」の「つらさ」は相手の薄情、「かく」は約束がたがうように、の意である。「や」は疑問の係助詞で、結句の「変はる」と連体形で結ぶ。
結句「変はると思へば」の「ば」は順接の確定条件で、変わるかと思うので、と三句の「頼もしき」の理由を示す。
ちぎる:将来を約束する。特に男女が愛を誓い合う
たがふ:食い違う、約束が守られない
- 作者
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藤原実方
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ひきや榻の端書きかきつめて 百夜も同じ丸寝せんとは
- 次の歌
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知らじかし思ひも出でぬ心には かく忘られず我嘆くとも