知らじかし思ひも出でぬ心には
かく忘られず我嘆くとも
- 歌の意味
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知りはしないだろうよ。私のことを思い出しもしないあなたの心では。このように忘れられずに私が嘆いていても。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 781
詞書は前の歌に続き「題しらず」
知りはしないだろう、私を思い出しもしないあなたの心では、このように忘れられずに私が嘆いていても、と詠む。自分は相手を忘れられずに嘆いているのに、相手は思い出すことさえないという、心の通わない恋の隔たりを、突き放すような初句で強く言い切っている。
作者の「相模」は源頼光の娘(養女とも)である。相模守大江公資の妻となったことからこの名で呼ばれ、のちに一条天皇の皇女脩子内親王に仕えた。小倉百人一首にも歌が採られている。
前歌は相手の心が変わることに望みをかけたが、本歌は相手の心が自分に向かないことを嘆く。思い出さない相手と忘れられない自分という対比が、一首の骨組みとなっている。
初句「知らじかし」の「じ」は打消推量の助動詞、「かし」は念を押す終助詞で、知りはしないだろうよ、の意である。ここで句切れとなり、二句以下と倒置の関係にある。
二句「思ひも出でぬ」の「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形で、私のことを思い出しもしない、の意である。
三句「心には」は、そのような相手の心では、の意で、初句の「知らじ」の主体を示す。
四句「かく忘られず」の「れ」は可能の助動詞「る」の未然形で、このように忘れることができずに、の意である。二句の「思ひも出でぬ」と対をなす。
結句「我嘆くとも」の「とも」は逆接の接続助詞で、私が嘆いていても、の意である。初句の「知らじかし」へ返る。
おもひいづ:思い出す
なげく:悲しみ嘆く
- 作者
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相模
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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契りこしことの違ふぞ頼もしき つらさもかくや変はると思へば
- 次の歌
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つれもなくなりぬる人の玉章を 憂き思ひ出の形見ともせじ