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我が恋は海人の刈る藻に乱れつつ
乾く時なき波の下草

歌の意味
私の恋は、海人が刈る藻のように乱れ続けて、乾く時のない波の下の草のようなものだ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 793

詞書「中将に侍りける時、家に歌合し侍りけるに、恋の歌とて詠み侍りける」
 俊忠が中将であった時、自邸で催した歌合で恋の歌として詠んだ歌である。私の恋は海人の刈る藻のように乱れて、乾く時のない波の下草である、と詠む。海人が刈り取った藻が乱れるさまに恋に乱れる心を、波の下に沈んで乾くことのない草に涙に濡れ続ける身を重ね、海辺の景物に寄せて、尽きない恋の嘆きを表している。
 作者の「権中納言俊忠」は権大納言藤原忠家の子である。権中納言に至り、自邸でしばしば歌合や歌会を催した。本集の撰者藤原俊成の父である。

 初句「我が恋は」は、一首全体の主題を示す。
 二句「海人の刈る藻に」は、海人が刈り取る藻のように、の意である。刈った藻が乱れるさまから三句の「乱れ」を導く。
 三句「乱れつつ」の「つつ」は反復、継続を表す接続助詞で、乱れ続けて、の意である。
 四句「乾く時なき」は、乾く時のない、の意で、涙に濡れ続ける身を示す。
 結句「波の下草」は体言止めで、波の下に沈んだ草をいう。初句の「我が恋は」をこの句で受け、恋そのものを波の下草にたとえて結ぶ。

あま:海で漁をする人
したくさ:物の下や陰に生える草
作者
藤原俊忠
出典
千載和歌集
前の歌
満つ潮に末葉を洗ふ流れ葦の 君をぞ思ふうきみしづみみ
次の歌
なほざりに三輪の杉とは教へおきて 尋ぬる時は逢はぬ君かな