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冬の日を春より長くなすものは
恋ひつつ暮らす心なりけり

歌の意味
短いはずの冬の日を、春の日よりも長くしてしまうものは、恋しく思いながら一日を暮らす心なのであった。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 796

詞書「題しらず」
 短い冬の日を春の日より長くするものは、恋しく思いながら日を暮らす心であった、と詠む。冬の日は短く春の日は長いという季節の常識を裏返し、恋に悩む心には短いはずの冬の一日さえ果てしなく長く感じられるという、時間の感覚の変化に恋の苦しさを見いだしている。
 作者の「法性寺入道前太政大臣」は藤原忠通である。関白藤原忠実の子で、摂政、関白を務めて太政大臣に至り、のちに出家して法性寺に住んだ。本集の撰集当時摂政であった藤原兼実の父で、小倉百人一首にも歌が採られている。

 初句「冬の日を」は、短いはずの冬の一日を、の意である。
 二句「春より長く」は、春の日よりも長く、の意で、冬の日は短く春の日は長いという常識を逆転させる。
 三句「なすものは」は、そのようにするものは、の意で、下の句で答えを示す問いの形をとる。
 四句「恋ひつつ暮らす」の「つつ」は継続を表す接続助詞で、恋しく思い続けながら日を暮らす、の意である。
 結句「心なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、心なのであった、と三句の問いに答える。

くらす:日を過ごす
作者
藤原忠通
出典
千載和歌集
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