思ひきや憂かりし夜半の鳥の音を
待つことにして明かすべしとは
- 歌の意味
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思いもしなかった。逢っていた頃にはつらく聞いた夜更けの鶏の声を、今は待ち遠しいものとして夜を明かすことになろうとは。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 894
詞書「逢不逢恋といへる心を詠める」
「逢うて逢はざる恋」の題で詠んだ歌である。思っただろうか、つらかった夜半の鶏の声を、待つことにして夜を明かすことになろうとは、と詠む。恋しい人と逢っていた頃は、別れの時を告げる鶏の声がつらいものであったが、逢えなくなった今は、ひとり寝の長い夜が早く明けることを願って鶏の声を待つようになったと、同じ鶏の声に対する思いの変化によって、逢えなくなった嘆きを表している。
作者の「俊恵法師」は源俊頼の子である。東大寺の僧となり、白川の僧坊を歌林苑と名づけて多くの歌人を集め、歌会や歌合を催した。
本巻の第八百六十六首も初句を「思ひきや」で始め、思いもかけなかった恋の成り行きを詠んでいる。本巻の第八百五十首、第八百九十首と同じ「逢不逢恋」の題の歌である。
初句「思ひきや」の「き」は過去の助動詞、「や」は反語の係助詞で、思っただろうか、いや思いもしなかった、の意である。ここで句切れとなり、二句以下と倒置の関係にある。本巻の第八百六十六首の初句と同じである。
二句「憂かりし夜半の」の「憂かりし」はつらかった、の意で、逢っていた頃の後朝の別れのつらさを指す。「夜半」は夜更けのことである。
三句「鳥の音を」の「鳥」は鶏のことで、夜明けを告げ、恋人たちに別れの時を知らせるものである。
四句「待つことにして」は待つべきものとして、待ちわびて、の意である。二句の「憂かりし」と対比させ、逢えない今の境遇を示す。
結句「明かすべしとは」の「明かす」は夜を明かす意で、「べし」は当然、運命の助動詞である。夜を明かすことになろうとは、の意で、初句の「思ひきや」に返って結ぶ。
よは:夜更け
とりのね:鶏の鳴く声。夜明けを告げ、恋人たちに別れの時を知らせる
- 作者
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俊恵
- 出典
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千載和歌集
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伊勢島や一志の浦の海人だにも かづかぬ袖は濡るるものかは
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