- 歌の意味
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衣を裏返して寝た夏の夜は短くて、夢の中でさえ満ち足りないうちに、あの人と別れてしまった。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 895
詞書「夏夜恋といふ心を」
「夏の夜の恋」の題で詠んだ歌である。衣を裏返して寝た夏の夜は、夢の中でも満ち足りないうちに人と別れてしまった、と詠む。夜の衣を裏返して寝ると恋しい人を夢に見るという言い伝えにならって寝たものの、夏の夜は短く、夢の中でさえ心ゆくまで逢うことができずに別れてしまったと、題の「夏夜」の短さを夢の逢瀬のはかなさに結びつけている。
作者の「俊恵法師」は源俊頼の子である。東大寺の僧となり、白川の僧坊を歌林苑と名づけて多くの歌人を集め、歌会や歌合を催した。
衣を返して寝るという趣向は、小野小町の「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣を返してぞ着る」(古今和歌集)に見え、本歌もこれを踏まえている。
本巻の第八百七十六首、第八百九十八首、第八百九十九首とともに、夢の中の逢瀬を詠む歌である。
初句「唐衣」は衣の美称で、「返す」「着る」などにかかる枕詞である。
二句「返してはねし」の「返す」は衣を裏返す意で、恋しい人を夢に見るためのまじないである。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、裏返して寝た、の意である。
三句「夏の夜は」は題の「夏夜」に当たり、夜の短いことを暗示する。
四句「夢にも飽かで」の「飽かで」は満ち足りないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。夢の中でさえ心ゆくまで逢えずに、の意となる。
結句「人別れけり」の「人」は恋しい人のことで、「けり」は詠嘆である。短い夏の夜が明け、夢の中の逢瀬も終わってしまったことを示して結ぶ。
からころも:衣の美称で、「返す」「着る」などにかかる枕詞
あく:満ち足りる、満足する
- 作者
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俊恵
- 出典
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千載和歌集
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思ひきや憂かりし夜半の鳥の音を 待つことにして明かすべしとは
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