- 歌の意味
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人に知られることのない大内山の山守である私は、木陰に隠れるようにしてばかり月を見ていることだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 978
詞書「二条院御時、年ごろ大内守ることを承りて、御垣の内には侍りながら、昇殿は許されざりければ、行幸ありける夜、月の明かかりけるに女房のもとに申し侍りける」
二条天皇の時代、長年内裏の警護の役を務め、御垣の内にはいながらも昇殿を許されていなかったので、行幸のあった月の明るい夜に、女房のもとに申し送った歌である。人に知られない大内山の山守は、木陰に隠れてばかり月を見ることだ、と詠む。内裏を大内山、警護する自分を山守、天皇を月にたとえ、近くに仕えながら殿上には昇れない不遇を訴えている。『平家物語』には、この歌によって昇殿を許されたことが記されている。
作者の「前右京権大夫頼政」は源頼政である。源仲政の子で、摂津源氏の武将として大内守護をつとめ、従三位にのぼった。のちに以仁王を奉じて平家打倒の兵を挙げ、宇治で敗死した。
本歌から月を詠む歌が続く。月を天皇になぞらえる本歌に対し、次歌の第九百七十九首は出家した女御を月にたとえている。
初句「人知れぬ」は、人に知られない、の意で、目立たない身の上を表す。
二句「大内山の」は、内裏を山にたとえた語である。
三句「山守は」は、山の番人の意で、内裏の警護をする自分をたとえる。
四句「木隠れてのみ」は、木陰に隠れてばかり、の意で、昇殿を許されずに陰から仕える身を表す。「のみ」は限定の副助詞である。
結句「月を見るかな」の「月」は天皇をたとえたもので、「かな」は詠嘆の終助詞である。陰から天皇を仰ぎ見ることだ、の意となる。
おほうちやま:内裏を山にたとえた語
やまもり:山の番人
しようでん:清涼殿の殿上の間に昇ることを許されること
みかき:宮中を囲む垣
こがくる:木陰に隠れる
- 作者
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源頼政
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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露しげき蓬が中の虫の音を おぼろけにてや人の尋ねん
- 次の歌
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秋を経て光をませと思ひしに 思はぬ月の影にもあるかな