霜冴ゆる庭の木の葉を踏み分けて
月は見るやと訪ふ人もがな
- 歌の意味
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霜が冷たく置いた庭の落ち葉を踏み分けて、月を見ているかと訪ねてくれる人がいてほしいものだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1009
詞書「寒夜月といへる心を詠み侍りける」
「寒夜の月」という題で詠んだ歌である。霜の冴える庭の木の葉を踏み分けて、月を見ているかと訪ねてくる人がいてほしい、と詠む。冬の寒い夜、誰も踏まない庭に霜と落ち葉が積もるさびしい住まいで、同じ月を愛でる心を持った人の訪れを願っている。
作者の「円位法師」は西行である。俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家した。諸国を旅して多くの歌を詠み、家集に『山家集』がある。小倉百人一首にも歌が採られている。
前歌の第千八首と結句「訪ふ人もがな」を共有する。前歌が月の沈んだあとの訪れを願うのに対し、本歌は月の照る間に、月を見ているかと問いに来る人を願っている。
初句「霜冴ゆる」は、霜が冷たく置いて冴えわたる、の意である。
二句「庭の木の葉を」は、庭に散り積もった落ち葉を、の意で、人の訪れのないことを表す。
三句「踏み分けて」は、落ち葉を踏み分けて、の意で、訪ねてくる人の姿を描く。
四句「月は見るやと」の「や」は疑問の係助詞で、月を見ているかと、の意である。
結句「訪ふ人もがな」の「もがな」は願望の終助詞で、訪ねてくれる人がいてほしい、の意である。前歌の第千八首の結句と同じ句である。
さゆ:冷たく澄みわたる
ふみわく:踏み分ける
とふ:訪れる、訪ねる
- 作者
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西行
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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さびしさも月見るほどは慰みぬ 入りなん後を訪ふ人もがな
- 次の歌
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住み馴れし宿をば出でて西へ行く 月をしたひて山にこそ入れ