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仏には桜の花をたてまつれ
我が後の世を人とぶらはば

歌の意味
仏には桜の花をお供えしてくれ。私の死後の世を、人が弔ってくれるならば。
鑑賞
巻第十七 雑歌中 1067

詞書は前の歌に続き「花の歌あまた詠み侍りける時」
 花の歌を数多く詠んだ時の一首である。仏には桜の花を供えてくれ、私の後世を人が弔ってくれるならば、と詠む。死後の供養には桜の花を手向けてほしいと願い、生涯愛した桜を仏に捧げることで、花への思いをそのまま仏道へとつなげようとしている。花を愛した西行らしい一首として知られ、『山家集』にも収められている。
 作者の「円位法師」は西行である。俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家した。諸国を旅して多くの歌を残した。
 本巻の第千百五十五首が、亡き父の墓所に散り積もる花を見て、苔の下にも花を惜しむ心が残っているだろうかと思いやるのと、死後も桜に心を寄せる点で通う。

 初句「仏には」は、仏前には、の意で、死後の供養の場を思い描いている。
 二句「桜の花を」は、生前に愛した桜の花を、の意である。
 三句「たてまつれ」は「たてまつる」の命令形で、お供えしてくれ、の意である。ここで句切れとなり、下の句と倒置の関係にある。
 四句「我が後の世を」の「後の世」は死後の世、後世の意である。
 結句「人とぶらはば」の「とぶらふ」は死者を弔い供養する意で、未然形に「ば」が付いて、もし弔ってくれるならば、と仮定を表す。

のちのよ:死後の世、後世
とぶらふ:死者を弔い、供養する
たてまつる:「与ふ」の謙譲語、差し上げる
作者
西行
出典
千載和歌集
前の歌
花に染む心のいかで残りけん 捨て果ててきと思ふ我が身に
次の歌
この春ぞ思ひは返す桜花 むなしき色に染めし心を