古典和歌stream

みくらやままきのやたてて住む民は
年を積むとも朽ちじとぞ思ふ

歌の意味
御倉山に槙の木で家を建てて住む民は、年を重ねても、朽ちることはあるまいと思う。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1174

詞書「ままきのやたて」
 物名の歌で、「ままきのやたて」という語を、初句の「みくらやま」から二句の「まきのやたてて」にかけて隠して詠み込んでいる。御倉山に槙の屋を建てて住む民は、年を積んでも朽ちないだろうと思う、と詠む。朽ちにくい槙の木で建てた家に住む民の、末長い暮らしをことほぐ趣である。
 作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院の歌壇で活躍し、白河院の命により『金葉和歌集』を撰進した。
 物名の一連の六首目である。

 初句「みくらやま」は山の名で、御倉山の意と解される。末尾の「ま」から次の句にかけて、物名の「ままきのやたて」が隠されている。
 二句「まきのやたてて」の「槙」は杉や檜など良材となる木の総称で、「屋建てて」は家を建てて、の意である。
 三句「住む民は」は、そこに住む民は、の意である。
 四句「年を積むとも」の「とも」は逆接仮定の接続助詞で、年を重ねても、の意である。
 結句「朽ちじとぞ思ふ」の「じ」は打消推量の助動詞で、「ぞ」は強意の係助詞、連体形の「思ふ」で結ぶ。槙の家が朽ちないことに、住む民の長く栄えることを重ねている。

ままきのやたて:物名の題、初句から二句にかけて隠されている
まき:杉や檜など良材となる木の総称
作者
源俊頼
出典
千載和歌集
前の歌
わが駒をしばしとかるかやましろの 木幡の里にありと答へよ
次の歌
世とともに心をかけて頼めども われからかみのかたきしるしか