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秋は霧きりすぎぬれば雪降りて
晴るる間もなき深山辺の里

歌の意味
秋は霧が立ちこめ、その霧が過ぎると雪が降って、晴れる間もない、深い山のほとりの里であることだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1177

詞書「百首歌奉りける時の隠し題の歌、きりぎりす」
 百首歌を奉った折、隠し題として「きりぎりす」を詠んだ歌で、初句の「秋は霧」から二句の「きりすぎぬれば」にかけてその名を隠している。秋は霧、霧が過ぎれば雪が降って、晴れる間もない深山辺の里、と詠む。秋の霧から冬の雪へと、空の晴れる時のない山里の暮らしの寂しさを詠んでいる。
 作者の「待賢門院堀川」は神祇伯源顕仲の娘である。鳥羽天皇の中宮待賢門院に仕え、堀河と呼ばれた。
 物名の一連の九首目である。

 初句「秋は霧」は、秋は霧が立ちこめる、の意である。ここから次の句の「きりす」にかけて、物名の「きりぎりす」が隠されている。
 二句「きりすぎぬれば」は「霧過ぎぬれば」で、霧の季節が過ぎてしまうと、の意である。「霧」を重ねて、「きりぎりす」の音を作り出している。
 三句「雪降りて」は、冬になって雪が降って、の意である。
 四句「晴るる間もなき」は、晴れる間もない、の意で、霧と雪の両方を受けている。
 結句「深山辺の里」は、奥深い山のほとりの里の意で、体言止めで結んでいる。

きりぎりす:今のこおろぎ、物名の題として初句から二句にかけて隠されている
かくしだい:物の名などを歌の中に隠して詠み込ませる題
みやまべ:奥深い山のほとり
作者
待賢門院堀河
出典
千載和歌集
前の歌
秋の野に誰を誘はむ行き帰り ひとりははぎを見るかひもなし
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稲荷山しるしの杉の年古りて みつのみやしろ神さびにけり