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貴船川玉散る瀬々の岩波に
氷を砕く秋の夜の月

歌の意味
貴船川の、玉のようなしぶきが散る瀬々の岩に砕ける波に、氷を砕くように光を散らしている秋の夜の月よ。
鑑賞
巻第二十 神祇歌 1274

詞書「同じき社の後番の歌合の時、月の歌とて詠める」
 同じ賀茂社で後に催された歌合の折、月の歌として詠んだ歌である。貴船川の玉散る瀬々の岩波に、氷を砕く秋の夜の月よ、と詠む。急流の貴船川で岩に当たって砕ける波しぶきに月光が映るさまを、冴えた月の光が氷を砕いているかのように描き、秋の夜の冷たく澄んだ美しさを鮮やかにとらえている。
 作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。権中納言藤原俊忠の子で、皇太后宮大夫に至り、のちに出家した。本集『千載和歌集』の撰者で、藤原定家の父にあたる。
 本巻の第千二百七十首も貴船川を詠み、同歌が流れの速さに神の霊験の速さを重ねたのに対し、本歌は急流に砕ける月光を詠んでいる。前歌の第千二百七十三首と同じく賀茂社の歌合の歌である。

 初句「貴船川」は山城国の貴船社のそばを流れる急流で、本巻の第千二百七十首の三句「貴船川」と同じ川である。
 二句「玉散る瀬々の」の「玉散る」は水しぶきが玉のように飛び散る意で、「瀬々」はあちこちの浅瀬である。
 三句「岩波に」の「岩波」は岩に当たって砕ける波である。
 四句「氷を砕く」は、波に映る冴えた月光を氷に見立て、砕ける波とともに月の光が砕けるさまを言う。
 結句「秋の夜の月」は体言止めで、一首の情景を月に収めている。

せぜ:あちこちの浅瀬
いはなみ:岩に当たって砕ける波
作者
藤原俊成
出典
千載和歌集
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君を祈る願ひを空に満てたまへ 別雷の神ならば神
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