古今和歌集 - よみ人しらず
たくさんの鳥が楽しげにさえずる春は、見るもの聞くものすべて新しくなるけれど、私だけが春が来るたびに古くなっていく。
古今和歌集 - 凡河内みつね
春が来て、雁が北へ帰ってゆく。白雲のなかの道を行くのであろうが、できることなら越の国へ行ったあの人に言付けをしようものを。
古今和歌集 - 伊勢
春霞が立ち、間もなく花が咲き始める春を見捨てて北へと飛んでゆく雁は、花の咲かない里に慣れているのだろうか。
古今和歌集 - よみ人しらず
先ほどの梅の花を折りとったので、私の袖はこんなにいい匂いがする。そのせいか梅が咲いていると思ってであろうか、ここでうぐいすが鳴いている。
古今和歌集 - よみ人しらず
色よりも香りの方がしみじみと趣深く思える。この宿の梅はいったい誰が袖をふれて、その移り香を残し伝えたのであろうか。