更級日記
海松布の生える浦でなかったなら、荒磯の波間を数えている海人もいないでしょうに。
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更級日記 - 菅原孝標女
夢が覚めて、寝覚めの床が涙で浮くほどに恋しく思ったと告げてほしい。西へ行く月よ。
どのように言い、何にたとえて語ったらよいのだろう。秋の夕暮れの、この住吉の浦を。
荒れる海に、風が来るより先に舟を出して、石津の波となって消えてしまっていたならば。
月も出ないで闇に暮れているこの姥捨のような所に、どうして今宵訪ねて来たのだろう。
今はもうこの世にいないものと思っているのだろうか。ああ、泣く泣く、それでもやはり生き長らえているのに。
絶え間ない涙に曇っている心にも、明るいと見える月の光であることよ。
しだいに茂っていく蓬の露に濡れそぼちながら、誰にも訪ねてもらえずに、ただ声をあげて泣いてばかりいる。
あなたのは世間並みの家の蓬でしょう。思いやってください、すっかり世を背いた私の庭の草むらを。